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手の届く距離で(1)
 後悔はしない。
 たとえ世界の全てが忘れてしまったとしても、あなただけが覚えていてくれれば、それで良いから。









「・・・これで、理論上は」

 薄暗い部屋の中で淡い光を放つディスプレイに、難しい表情をした男の顔が映りこむ。その目の前には大量のデータが目まぐるしいスピードで流れて行き、そしてそれらのデータを男は落とすことなく全て正確に読み取っていく。
 画面上に映される信号は、オールグリーン。
 けれどそれを見つめる人物の表情は冴えなかった。

「しかし、いや、・・・それならば・・・」

 後は起動コードを打ち込むのみ。
 画面の明滅は激しさを増し、まるで早く動かしてくれとせがむような機械の作動音が低く部屋を覆っている。
 最後まで躊躇っている仕草をみせていたが、何かを決意したのか、数桁のキーワードを入力してプログラムを始動した。
 これから果たして何が始まるのか、その結末をまだ誰も・・・この男自身すら、知らない。




***




 きらり、と。
 瞼の裏に差し込む眩しい光に覚醒を促されつつも、温かいまどろみの中最後の抵抗とばかりに寝返りを打つ。昨晩は遅くまでインターネットにアクセスしていたためか何となく寝不足な感じが拭えずに、まるで不機嫌な声で小さく唸った。
 もう少し、もう少し経てば嫌でも起きることになるのだから。
 そんな風に惰眠をむさぼる光景はいつものことで、時間が来れば優秀な彼の相棒が起床の合図を張り上げるのも、またいつもの朝の風景であった。

「うぅーん・・・」

 ごろり、とまた転がりながら、収まりの良いポジションを探す。
 隣りに感じる心地よい温もりがまた眠気を増徴させていた。

「う・・・?」

 隣り?
 ふと、奇妙なことに気がついて意識が浮上しはじめる。
 なぜならばここは彼の個室であり、そしてましてやベッドの中だ。昨夜も当然一人で就寝し、隣りに感じるようなやわらかく温かなものにはまったく心当たりがなかった。
 まるで、そう、誰かが隣りで眠っているような・・・。

「ふぁぁ」

 大きな欠伸をひとつ。
 そうして起き上がると、やはり想像していた通り、布団の中にもう一人分のふくらみを見つける。
 幼馴染のメイルが勝手に部屋まで入ってくるのは日常茶飯事だが、彼女も女の子だ。熱斗のベッドにもぐりこむなんて真似はしないだろう。
 そしてさらに言えば、布団の端からちらりと覗く髪の色は、その幼馴染のものと違っていた。
 どちらかというと、その色はもっと見慣れた・・・。

「え・・・っ?」

 思い当たった人物にまさかと一瞬否定するが、熱斗の身じろぎに気づいたのか、眠っていたらしい相手が大きく伸びをして身を起こしたことによってさらに驚きに目を見張ることとなった。

「んー・・・? どうしたの、今朝はずいぶん早起きだね・・・?」

「なっ!!」

 さらり、と額にかかる青い髪が陽の光を反射してまぶしく目を射抜く。
 熱斗の予備のパジャマに身を包んでいるものの、どう見てもその相手の顔は・・・。

「ろ、ろ、ロックマンーっ!?」

「おはよう、熱斗くん」

 にこり、とほころぶように微笑んでみせたその人物は、まさしくPETの中でいつも会話をしている相手。彼の相棒のロックマン.EXEだった。




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コメント▽
とりあえずやってみたかった連載を始めてみました。冒頭なので短めに。
色々と書きたいネタはたくさんあるんですが、ロックマン実体化は夢でしょう!ってことで捏造設定を加えつつ進めていきます~。


update 2009/04/09
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