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拍手再録-ver熱斗
 朝の光にはひっそりと隠れるように。
 昼は周りの喧騒に紛れながらも、はっきりと。
 そして夜は不気味な程に強く浮かびあがる。

「いつでも見てるんだ」

 そう言ったのは自分だっただろうか。
 まさに「監視」されている状態なのだろう。いつでもその存在を近くに感じていた。

「・・・あそこから、見てる」

 真っ先に浮んでくるのは、フォルテとも戦いそして強大な力を人類に見せ付けたナビ。スラーと名乗る存在のこと。
 そして、もうひとつの。
 あまりに強い力で包まれていたため、その全貌を確認することは出来なかったが、射しぬくような光だけは記憶に強く印象づいている・・・。

「デューオ」

 地球に審判を下そうという、超生命体が、そこにいるのだ。
 瞳に照り返る彗星の明かりはひんやりと冷たい気がして、熱斗はぱちりと目を閉ざした。たとえそうしたとしても、そこに存在している星が消えてしまうわけではなかったけれど。
 ぴたりと離れない視線はずっとそこに在り、閉じたままの目で空を感じた。

「俺たちに何をさせたいんだ・・・?」

 てのひらに刻まれたデューオの紋章は目に見えなくても、天空に浮かぶ凶星があるかぎりその存在を忘れることはない。

「熱斗くん?」

「何でもないよ、ロックマン」

 ブン、と電源が起こされた音がして、耳慣れた声が降ってきた。
 独り言を聞きとめられたのか、ロックマンがPETの小さな画面からギリギリの範囲で部屋の隅に座る熱斗の姿を捉えており、不安そうな表情を隠さずそこに佇んでいる。
 彼に心配をかけていることを自覚していて、熱斗はあえて曖昧に微笑んで返したのだった。
 そんな子供だましの様な誤魔化しは通じない。
 わかっていても本当のことも言えない。
 そしてそんな熱斗の本音をわかってくれるからこそ、ロックマンもそれ以上は聞いてこないのだ。

「そう? ・・・あまり夜更かししないでね」

 騙されたふりをして、PETを待機状態へ戻していく。
 画面の明かりが落ちるまでの間、お互いに見つめ合って。からみ合う視線と視線は心とは違いこんなにも近いのに。
 ぷつんと切れた電源に、熱斗は視線をまた窓の外へと戻しながら、音には出さずにそっと謝った。

「もう少しだけ、な」

 まだいえない。
 言いたくない。

 両目をぎゅうっと硬く瞑って、てのひらを合わせる様に握りこんだ。
 蹲るように膝を抱えてじっと息を潜める。
 いまひとときだけでも、全部を閉ざせてしまえば良いのに、と。
 相変わらず彗星の光は冷たく差し込んでいたし、てのひらの紋章は無くなることは無かったけれど。

「試練ってなんだろう」

 触れた瞬間、てのひらが熱く熱くなって。
 眩しい光とともに浮かび上がった、対なる紋章。
 ぞっとしなかったといえば、嘘になる。
 初めてデューオと対峙したときよりも、自分の体に未知のしるしが刻み込まれたときよりも・・・なにより、炎山の手に紋章が浮かび上がった瞬間が熱斗には怖かった。

「俺と・・・炎山、・・・そしてライカ」

 まるで共鳴して呼び合うかのように紋章を持つもの同士が出会い、触れ合うことによって目覚める。そうも見えたが。
 逆に、

「まるで、感染していくみたいだ」

 自分を起点に広がっていく、デューオとの関わり。それが近しいものたちに現れるたびに、ああ、と思うのだ。

 ああ、彼らもまた、この戦いに巻き込まれていくのだと。

 何も知らなかったころには戻れない。戦いの中で誰かが傷つくこと、悲しむこと・・・大切な人を失うこと。
 たくさんたくさん、それらを見て感じてきたからこそ。

「もう誰にもそんな思いして欲しくないから」

 この戦いは誰も悲しむことなく終わって欲しいと、そう思う。
 目を閉じて、全てを閉ざして、お守りのようにひとつ呟く。

「・・・大丈夫」

 負けない。
 どんな試練でも、俺たちは負けない。
 それがどれほど大変で、辛いものだったとしても、乗り越えていけるから大丈夫。
 そうやって、たくさんの人たちと今の関係を繋いできたのだから。
 繋げてきたみんなの希望は、どんな力をもっても断ち切られることはない。

「大丈夫だよな、俺たちだったら」

 暗くなったPETへと語りかけた。
 きっと聞こえているのだろうけど、気を利かせてくれているのかロックマンから応える声は無くて。
 そんな気遣いに嬉しくて熱斗は微笑んだ。
 何が起こったとしても、ひとりじゃないから、立ち向かっていける。
 たとえひとりでそこに立っていても、自分はひとりではないのだ。

「いつだって俺たち二人ならば」

 みんなもいる。
 たくさんの人たちが自分を支えてくれている。
 そして何よりも、必ず一番近いところに、彼が居てくれるから。

「何が来ても、平気だよな」

 絶対に、そばに居てくれるから。
 だからまだまだ、俺は大丈夫。




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コメント▽
拍手に載せられませんでしたが、書き下ろしで熱斗編です。
このお話はちょうどストリームのお話の流れでデューオの紋章がライカにも出てきた頃考えた突発ネタでした。とりあえず、熱斗が抱える不安とか、周りが熱斗に感じる不安とか。デューオの象徴って混乱・破壊もあるだろうけど「不安」って要素が大きい気がします。人の中にある「不安」とか「不満」を増幅させてアステロイドが暴れる、そんな図式でとらえてみました。

update 2009/04/10
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